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「36(サブロク)協定」毎年締結・届出していますか?

2025.11.25

 たまに耳にする「サブロク協定」とは、いったいどのような協定なのか、ご存じでしょうか?36(サブロク)協定とは慣習的な呼び方で、「時間外・休日労働に関する協定届」を指しています。36協定は、労働基準法第36条に基づき、企業が従業員に時間外労働や休日労働をさせるために必要な労使協定です。

 この36協定を締結し、労働基準監督署に届出をしていない場合、従業員に法定労働時間を超えて残業や休日労働をさせることはできません。36協定を届け出ないまま残業を命じると法律違反となり、行政指導や罰則の対象となる可能性があります。1度届出をして終わりではなく、毎年締結・届出をする必要がありますので、届出もれがないか、是非チェックしてみてください。

1,なぜ必要なのか

法令遵守のため:労働基準法を守ることは企業の社会的責任です。違反が発覚すると、企業名が公表されるケースもあります。

従業員の安心のため:残業時間の上限やルールを明確にすることで、従業員が安心して働ける環境を整えられます。

労使関係の安定のため:労使で合意したルールを文書化することで、トラブルを未然に防ぐことができます。

2,協定の内容

36協定には以下のような事項を定めます。

  • 時間外労働・休日労働を行う業務の種類
  • 1日・1か月・1年ごとの残業時間の上限
  • 協定の有効期間(通常1年)
  • 特別条項付き協定の場合は、臨時的に上限を超える残業を認める条件や手続き

 特に2019年の「働き方改革関連法」により、時間外労働の上限規制が厳格化されました。原則として、月45時間・年360時間を超える残業は認められず、特別条項を設ける場合でも、時間外労働が年720時間以内、時間外労働+休日労働が2~6か月平均80時間以内・単月100時間未満といった制限があります。

3,届出の方法

36協定は、労使間で締結しただけでは効力を持ちません。労働基準監督署へ届け出る必要があります。手続きの流れは以下の通りです。

  1. 労使協議:会社代表者と労働者代表(労働組合または従業員代表)で協定内容を話し合いましょう。
  2. 協定書の作成:厚生労働省の定める様式(様式第9号など)を用いて記載します。
  3. 労働者代表の選出:労働者代表は、管理監督者以外の従業員から民主的な方法で選出する必要があります。
  4. 署名・押印:会社代表者と労働者代表が署名・押印します。
  5. 労働基準監督署へ届出:事業場ごとに管轄の労働基準監督署へ提出します。郵送や電子申請(e-Gov)も可能です。

4,実務上の注意点

  • 有効期限の管理:期限切れのまま残業を命じると違法となるため、更新時期を必ずチェックしましょう。
  • 労働者代表の適正選出:企業が一方的に指名することは認められません。従業員の信頼を得られる方法で選出してください。
  • 特別条項の濫用防止:慢性的な長時間労働を正当化するために特別条項を使うことはできません。臨時的・一時的な事情に限られます。

     36協定は、企業が従業員に残業をお願いするための「必須の法的ルール」であり、労使双方の信頼関係を守るための仕組みです。適切に締結・届出を行うことで、法令遵守はもちろん、従業員の安心や企業の信用を守ることにつながります。ぜひこの機会に自社の36協定の内容や届出状況を確認し、必要に応じて見直しを行ってください。

     


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